事例をご紹介します(審判例)。
結婚約10年の夫婦で、7歳になる女の子がいました。夫の職業は、夫の父親が経営する税理士事務所の事務職員で、税理士試験の勉強を続けていました。妻は、不妊治療や将来の不安によるストレスで精神的に不安定となり、夫に離婚を度々要求したり、夫や夫の家族が死ねばいいと口走ったり,長女を置いて出ていくと口にするようになりました。子どもの監護は、妻の方が主に担当していました。
ある日、夫婦で口論となり,妻が台所から包丁を持ち出しました。この姿を見た夫は離婚を覚悟し、翌日、子どもが帰宅する前にランドセルや荷物を家から持ち出したうえ、子どもの帰宅を待って夫の母が子どもを連れ出しました。直後、夫婦は離婚の話し合いをしましたがまとまらず、夫と子どもは、夫の実家で暮らし始めました。
調査官による調査では、別居後も子どもの生活に問題はないこと、子ども自身が今の生活を続けることを希望していることが分かりました。
裁判所は、
・父(夫)による監護状況に問題はなく,親権者として不適格と思える事実はない。かえって、現在の生活環境を継続することが子どもの健全な発育に資する
・別居の契機は精神的に不安定な妻が刃物を持ち出したことにある。別居は子どもの保護に必要な行為であるから、別居に違法な点はない
と判断し、監護権者を監護権者を父(夫)とすることを認めました。この事例は別居中の監護権者について判断したものですが、親権者を判断する際も考慮要素は同様で、同様の結論になると思います。
名古屋家一宮支審令和2年2月13日(LLI/DB 文献番号 L07560052)
ここまで、離婚で子どもの親権者・監護権者を父(夫)とすることが認められる場合の事例(審判例)について、当事務所の弁護士宗川雄己(京都弁護士会所属)が紹介しました。
ムネカワ法律事務所では、本記事の内容に関係するご相談、離婚全般に関するご相談をお受けしています。ご依頼いただく場合のプランは3種類をご用意。ご相談の予約は、相談予約申込フォームまたはお電話で。
Commentaires